デジカメ業界の開発者の間で評価の高かったデジカメとして、どのような機種があったかと言いますと……
私がデジカメのお仕事をしていた頃は、富士フィルムの FinePix F30/F31fd であったと思います。
あの高感度画質は反則モノでございます。神機との評価は決して間違いではなく、私もプライベートで長く使用しておりました。
それから、カシオの EX-F1。超高速連写もまた業界人にとっては衝撃でした。
ただ、開発者のみなさんが実際にプライベートで使っていたデジカメの機種は結構ばらばらであったように思います。
さて、私がデジカメ開発の業務を離れてから F31fd の後継として選んだのが Leica D-LUX5 です。
ぺるけ さんの影響もありますが、アーティストの間で D-LUX の評価が高かったので気になってはいたのです。
最大の問題はお値段が高いこと。国内販売価格が9万円くらい。さすが Leica 様。
しかし、私には勝算がありました。欧州債務危機でギリシャがユーロ離脱するかしないかの瀬戸際まで追い込まれ、
ユーロに対して円高が進行していくのを、にんまりと眺めつつ購入のチャンスをうかがっておったのです。
(にんまりしていた理由として、FX でユーロ/円の売りポジを大量保有していたというのもありますが (^^; )
1ユーロ=98円になったところで勝負に出ました。ウィーンの Leica Shopのサイトから個人輸入決行。
価格は 582 ユーロでしたので、日本円にして 57,000 円程度。国内で購入するのに比べて実に 36% のプライスダウンとなりました。
円高ユーロ安の恩恵は、こういう形で享受すべきですよね。
この D-LUX シリーズ、実はパナソニックの OEM だというのは有名な話であります。(D-LUX 5 のベースモデルは LUMIX DMC-LX5)
ライカが独自にチューニングしているのは IP(画像処理)の部分だそうです。ですが、レンズの性能自体もそれなりにまともです。
レンズの部分に "LEICA" のロゴがありますが、レンズの設計品質を Leica が面倒を見ていたという事情がそのロゴの背景としてあります。
パナソニックが Lumix ブランドで世に出しているデジカメのレンズ性能(特に広角画質)が良いのは、Leica に扱かれ鍛えられた賜物であります。
このカメラを実際に使ってみた感想ですが、発色がよろしいです。鮮やかですが、それでいて不自然さがありません。
焦点距離 24-90mm も必要十分といったところ。夜景も綺麗に描写します。このカメラ、使い倒さないと損です。
その他のデジカメで個人的に手が伸びそうなのはシグマの DP Merrill シリーズですが、どちらが良いとは一概に言い切れません。
昼間やスタジオでのポートレート撮影ならば間違いなく DP Merrill に軍配が上がるでしょうが(なにせ、当たれば最強画質の Foveon センサ)、
その反面 高感度撮影がイマイチ(センサーが RGB 3層構造なのだから、ある意味仕方が無い)なので、将来 DP Merrill を購入したとしても
状況に応じて D-LUX と使い分け、という形になると思います。